「朝日の編集局長は、政権を恐れず堂々と『あるべき論』を打ち出すべき」と語る古賀茂明氏

「朝日の編集局長は、政権を恐れず堂々と『あるべき論』を打ち出すべき」と語る古賀茂明氏

信頼度の低下に歯止めがかからない朝日新聞。かつての大新聞に今、何が起こっているのか。『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が考察する。

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英オックスフォード大学のアンケート調査によると、現在、日本の主要紙で”信頼度が最も低い”と評価されているのは、朝日新聞だった。今年1月、2月にネットで日本人読者2023人にアンケートしたところ、日経新聞、地方紙、読売新聞、産経新聞、毎日新聞と続き、朝日は最下位の6位だったという。 

朝日は長年、日本のクオリティ紙の代表的存在だった。調査報道にも定評があり、過去にはロッキード事件、リクルート事件などをスクープしている。その朝日への信頼感の低下をどう考えればいいのだろう。

ここ数年、朝日は誤報めいた記事を掲載し、批判されるケースが続いていた。例えば、2011年の福島原発事故時、「東電が発電所の職員650人全員の撤退を検討した」と報じたが、後に緊急対応メンバーを残す「一時退避」だったと明らかになった。また14年8月には、慰安婦を強制連行したとの「吉田証言」は虚偽だったとする訂正記事の掲載に追い込まれた。

つい最近も森友学園の小学校設置趣意書に、「安倍晋三記念小学校」と記載したとの籠池泰典(かごいけ・やすのり)理事長(当時)による発言を報じたものの、実際に開示された文書には記載はなかったことがわかり、麻生財務大臣から「朝日は(安倍政権批判を)あおっている」と酷評された。

私は、朝日のこうした失態の背景に、「あるべき論」と「事実報道」の混同があると考えている。「あるべき論」とは社説や編集局長名の記事などで「社会や物事はこうあるべきだ」と主張することで、世論の形成と言い換えてもいい。

社説や記事で政権や東電を批判するのは、権力監視の役目を持つ新聞にとって当然のことだ。しかし、安倍政権による強烈な圧力に屈した今の朝日の幹部たちは完全に萎縮していて正しい主張ができない。

そのため、現場に不満がたまり、ついつい事実報道の中に権力批判の「気持ち」が入り込んでしまう。ただ、権力を指弾できるディープ情報は簡単には入手できない。その結果、時として、裏取りが不十分な情報を事実として報じる勇み足が生じるのだ。

こうなると悪循環だ。ただでさえ萎縮して正論を言えない幹部は、誤報で萎縮してますます何も言えなくなる。すると、「あるべき論」を補強・代替させようと、再び事実報道が政権批判の気持ちで歪(ゆが)められる。そんなことを繰り返せば、読者は朝日不信を募らせるしかない。

このような形でメディアへの信頼が失われると、権力への監視も弱まる。その典型が安倍3選を検証・批判する記事の減少だ。これは朝日に限らないが、最近、多くの新聞で「安倍政権の強さの理由」などの記事は掲載されても、「安倍一強」で民主主義が崩壊するのを防ぐべきだと指摘する記事は見かけなくなってきた。

ある全国紙の政治部記者によると、「記者クラブでは『安倍首相の3選は堅い』というコンセンサスが生まれていて、安倍政権を批判する記事自体が、”意味がない”というムードが広がっている」とのこと。由々しき事態だ。

朝日の編集局長は、現場の記者がよけいなバイアスをかける記事を書く必要がなくなるよう、政権を恐れず堂々と「あるべき論」を打ち出すべきだ。それなくして、新聞への信頼が復活することはないだろう。

●古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。近著は『国家の共謀』(角川新書)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

Source: Ameba News

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