命に関わる大病を患いながらも明るく懸命に生きる子どもたちの姿を追ったドキュメンタリー『子どもが教えてくれたこと』が公開中です。

 監督は、自身の娘を病で失った経験を持つジャーナリストのアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン。娘との日々を綴った本『濡れた砂の上の小さな足』(講談社)は世界でベストセラーを記録しています。本作でも高い評価を得ているアンヌ監督に話を聞きました。

◆子どもたちに発言権を与えたかった

――子どもたちの元気いっぱいの愛らしい笑顔と、達観したような姿、両極端な姿が印象的でした。

監督:そうしたコントラストにビックリされる方が多いと思いますが、子どもというのは大抵がそういうものなんです。すごく軽やかな部分とシリアスな部分の両面を持っています。そして本作の子どもたちは、人生がそんなに簡単じゃないことを特に分かっている。でも同時に人生を愛することができる。無邪気というよりも、悩まず無頓着になれる瞬間があるというのが、子どもたちの特徴かなと思います。

――監督ご自身、娘さんを病気で亡くされ、本を出されています。今回、ドキュメンタリー映画として世に出そうと思ったのはなぜですか?

監督:映画にすることは、子どもたちに発言権を与える唯一の方法であり、重要なことでした。自分の体験については、一人称の形で本を出しています。私という存在を消して子どもたちに発言権を与えることができるドキュメンタリーという手段が、私にとって必要だったのです。

――監督がご自身だからこそ、撮れたと思われる部分は?

監督:私自身が経験しているからこそ可能だった部分もありますし、だからこそ難しい、辛い部分と両方ありました。でも辛いというのは、そこで何かを感じているから。私自身の経験があり、感じられることで、観客の立場に立って考えることができると思いました。子どもたちも、私のふたりの娘が病気で、そのうちのひとりはすでに亡くなっていることを知っていました。だからこそ、彼らの日常に迎え入れてくれた部分はあったと思います。

◆子どもたちは観客を信頼している

――撮影前に予定していたことと変わっていったことはありますか?

監督:最初、私には子どもたちが苦痛を浮かべている姿は映したくないという思いがありました。でも子どもたちはこちらをとても信頼し、日常をありのままに撮らせる行動をしたんです。だから私自身が乗り越えて、子どもたちが楽しく遊んでいるところだけでなく、辛いところも見せようと思いました。

彼らが私を信頼している証でもあるし、観客のことも信頼しているのだと感じたのです。そして、現実を映すことで、彼らにもっと盛大な拍手を送りたくなると思いました。

――肌が弱く、体中を包帯で覆っている表皮水疱症のシャルルの入浴シーンは、彼自身が撮ってくれと言ったと聞きました。ほかにもそういった出来事はありましたか?

監督:シャルルのエピソードほど直接的なものはありませんが、経芽腫を患うテュデュアルがモルヒネを打ってもらっているとき、意識がもうろうとしてきてちゃんとお絵かきができないと泣き出します。実は子どもたちは自分でイニシアティブを取って、「ここはカメラを回して、ここは切って」とちゃんと言ってくるんです。でも泣きながらもテュデュアルはカットしてとは言わなかった。つまり、そうした姿も撮ってほしかったんです。

――彼らの日常を。

監督:そうです。

◆最大の敵は怖がること

――日本では小さな子どもたちに病名を告知するといったことはほとんどありません。

監督:日本の医療界をジャッジするつもりはありません。フランスでも子どもに告知をして説明するようになったのは、最近のことです。でも、なぜ真実を言わないの? 隠すの? と大人たちは考えるべきだと思う。きっと大人は何かが怖いのです。一体、何が怖いのか。最大の敵は怖がることです。自分の身体ですから、子どもたちは何かうまく機能していないと分かります。

隠すことは、事実を言うことよりも状況を辛くしてしまう。子どもたちは事実をちゃんと受け入れるのだと、大人は信頼すべきです。真実を伝えたうえで、笑いもあれば涙もある子どもたちの人生に、ちゃんと寄り添っていくべきだと思います。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

監督:この映画は子どもとの関係性とか、親はどうしなければいけないのかというレッスンではありません。すべての大人に、自分が子どもだったころを思い出してほしいのです。おそらく今は忘れてしまっているだろう、シンプルに、自然に生きていたころの自分を、この映画の子どもたちを通じて再発見してほしいという思いでいます。

<文・写真/望月ふみ>

(C) Incognita Films – TF1 Droits Audiovisuels

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Source: Ameba News

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