スウェーデンのファストファッションブランド「H&M」が、日本での旗艦店だった銀座店を7月16日に閉店することを発表しました。

 銀座店は2008年にオープンした当初、店の前に長い列ができるなど大いに賑わっていましたが、それから10年、なぜ銀座店の閉鎖を決めたのか。銀座店の閉店が意味することとは――?

◆いま、アパレル業界で大激変が起きている

 まず前提として、ZOZOTOWNといったオンラインショッピングサイトの登場により、アパレル業界では大激変が起きています。

 例えば、名古屋の老舗百貨店「丸栄」は今年6月30日、創業400年にわたる歴史に幕を閉じました。丸栄は00年ごろにギャルファッションブランドを多く取り扱うようになり、「ギャル栄」などとも呼ばれ、名古屋の109的な存在でもありました。しかし業績は思うように伸びませんでした。

 理由として、郊外に大型ショッピングモールが乱立するなど、競合相手の増加もありましたが、ネットで販売する業者の台頭が特に大きかったと丸栄の幹部は言います。

「私みたいな中年にとってはまだインターネットでクレジットカード番号などを入力したり、商品を実際に見ないで買ったりすることに若干抵抗がありますが、デジタルネイティブ世代はそういった感覚があまりないみたいです。ある意味、あの時ギャルファッションへ大きく舵(かじ)を切ったことが、結果的に消滅を早めてしまったのかもしれませんね」(丸栄の幹部)

◆H&M銀座店はなぜつぶれたのか

 では、H&M銀座店はなぜ消えてしまうのか。ファッションアナリストの山田耕史氏は、単純に店舗賃料の高さを原因の一つとして挙げます。

「銀座店は2008年から10年間のリース契約が今年で切れます。更新しなかった背景には銀座の地価が高騰し続けていることがあります。新たに契約を結ぶ場合のリース料は2008年のときよりも高額になるでしょう」

 日本進出時は、ブランドを浸透させるために注目度が高く話題性がある銀座に旗艦店を置く必要がありましたが、進出後10年が経ち、日本での知名度も高まったことも、高額な維持コスト支払ってまで銀座に旗艦店を構える必要性がなくなった理由だといいます。

 H&Mは最近、山口県や宮崎県などの地方ショッピングセンターに積極的に出店しています。日本法人のルーカス・セイファー氏はメディアの取材に対し、「(現在約80ある店舗をさらに増やして)2020年までに100店を達成したい」と発言しています。

◆日本におけるH&Mの弱さ

 ただ、「H&Mの勢いは陰り気味」と山田氏。H&Mの日本の売上高は、17年11月期は前期比4.8%増の約626億円です。決して売上高が落ちているわけではないのですが……。

「ZARAを擁するインディテックス社、GUを擁するファーストリテイリング社、そしてH&Mの各社の業績は右肩上がりで伸びています。ただ、EC化が急務の中、各社ともスマホシフトに力を入れて取り組んでいるようですが、ZOZOなどのIT企業が手掛けるアプリに比べると使い勝手が良くなく、それも伸び悩みの原因となっていると思います」(山田氏)

 そんな中、山田氏はH&Mの弱さをこう指摘します。

「最大のライバルであるZARAの特徴は商品の回転の早さ。世界中で行われているマーケットリサーチを反映して企画された商品が最短で2週間で店頭に並びます。新商品の入荷で店頭の雰囲気は1週間で一変するので、消費者がお店を訪れるときにワクワク感があります。それに比べると、H&Mは商品の回転が遅く、店頭の印象もなかなか変化しないので、消費者が頻繁に店を訪れる魅力が薄いのが現状です」

 また、日本の消費者にとってはH&MよりGUの方が魅力的だといいます。

「GUの価格帯はH&Mよりワンランク下。デザインのバラエティはH&Mのほうが豊かですが、商品のクオリティはほとんど変わらないか、GUのほうが上の場合もあります。最近のコスパ志向が強い日本の消費者にとって、GUのほうが魅力的に映ることが多いです」

 かつてH&Mを頻繁に利用していたという女性たちも、衣類の質の悪さにはうなずいています。

「縫製がけっこう雑で、変なところにシワができたり、ひどい時は服がゆがんでいることも……。Tシャツワンピとかならいいけど、縫製が目立つ服は買うのについ躊躇しちゃいますね」(出版社勤務・29歳)

「生地が薄いから、キャミソールとかタンクトップは洗濯ですぐヨレたり、毛羽立ったりします。インナー系はGUの方がマシかな」(IT企業勤務・32歳)

 日本人は海外の人よりも縫製など細部にこだわる、とはファッション業界でよく言われていること。ブームが去って冷静さを取り戻したら、いろいろ目についてしまうのかもしれません。

◆ファストファッションは今後どうなる?

 H&Mに限らず、ファストファッションブランドは今後、ビジネスモデルの転換に迫られていると山田氏は言います。

「2000年代までの世界のファッション業界は、パリやミラノで開催される有力ブランドのファッションショーを頂点としたピラミッド構造となっていました。コレクションのデザインを素早く模倣し、低価格で販売することがファストファッションブランドのビジネスモデルでした。

ですが、近年はSNSの普及の影響などにより、ファッション業界のピラミッド構造は崩れつつあります。また、消費者の好みも多種多様になり、ヒット商品も生まれにくくなっています」

 コレクションだけでなく、Instagramを始めとするSNSから生まれるトレンドを素早く反映し、今よりも多品種・小ロットの生産体制で多様化する消費者のニーズに応える必要があるそう。

 そのためには、「さらなるITの活用による企画の効率化や、ロボットミシンの導入などによる生産のスピードアップが求められています」。

<文/森聖児>

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Source: Ameba News

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